国史跡に指定されている辰巳用水は、江戸時代に金沢城の防火、防御を目的に造られ、現在も農業用水や兼六園および金沢市内を潤す環境用水として活用されている用水である。都市化に伴う耕地面積の減少によって、用水管理団体である辰巳用水土地改良区組合員が減少し、江浚い(えざらい)や隧道の補修等に参加する人員が減りつつある。
また、用水維持管理手法は高齢化した用水管理責任者の記憶に頼る部分が多く、このままでは維持管理手法が伝承されず途絶えてしまうこととなる。

 また、辰巳用水はこれまでの歴史の中で用水の恩恵を享受してきた地域の祭事と深い結び付きを持つ地域コミュニティの重要な一つの存在であったと言える。

 そのような中で、当団体はこれまで辰巳用水に関わる資料の収集や用水管理責任者への聞き取り調査などの活動を行ってきた。
今後はこれまでの活動を継続しつつ、行政を含めた多くの団体や市民とともに、維持管理手法のみならず、辰巳用水を取り巻く歴史・文化・環境などを明らかにして、その魅力を多くの人々に知ってもらい活動を拡げていきたいと考えている。

 今回、法人申請するに至ったのは、任意団体として実践してきた活動や事業を更に地域に定着させ、継続的に推進していくこと、対象地域の行政や関連団体との連携を深めていく必要があることなどの観点から、社会的にも認められた公的な組織としていくことが最良の策であると考えたためである。
また、当団体の活動 が営利目的ではなく、多くの市民の方々の賛同を得て参画してもらうことが不可欠であるという点から、特定非営利活動法人格を取得することが最適であると考えた。

 当団体を法人化することによって、組織を発展、確立することができ、辰巳用水の維持管理を永続的に伝承することが可能となる。
また、多くの人々に辰巳用水の魅力を理解してもらうことで、観光都市金沢のまちづくりや環境保全に関わるさまざまな事業を展開することが可能となり、地域社会に広く貢献することができると考えている。